今日は10月31日。この日、ほんの数年で日本へと一気に浸透した行事があった。



「さっわむらぁ〜vv」
ノックもなく扉を開けたのは言わずもがな。グラウンドでは天才と称されて久しい、青道の正捕手。名は御幸一也。
ノックぐらいしろよ、とこの夏華々しい活躍を残して引退した元三塁手の先輩から入った冷静な突っ込みは、残念ながら彼の耳には届いていない。もっとも、温厚なその人、増子からはそれ以上のお叱りを受けることはないのだが。それが却って助長させているとは、同じくこの部屋の住人である倉持の弁だ。

「何すか?」
いきなり名前を呼ばれることにも不本意ながらも慣れた、1年の住人の名は沢村栄純。御幸のある意味純粋な、不純な想いを一方的に一身に受けている真っ最中だった。
「沢村」
「はい」
「今日が何の日か知ってるか?」
その問いは、知らないだろうという計算が前提の質問だった。その根拠として、実は少し前にさりげなく探りを入れたときは全く知らなかったのだ。
が。
「ハロウィンでしょ?」
あっさりと答えられてしまった。
何で!?知らないはずだろ!?
話が違う。内心動揺しつつ、『切り札』を出す。


「Trick or treat!!」


ジュースはあっても、お菓子なんか持っていないはず。
そう目論んだ御幸の考えは一部当たっていた。確かに沢村は持っていなかったのだ。沢村は。



「ハッピィ〜〜〜〜ハロウィ〜〜〜〜〜ン!!!」




「ッ!!」

スコーンと音がしそうなほど、勢いよく飛んできた何かが御幸の額に当たった。
痛さというよりも衝撃に、御幸が思わず後ろへ一歩下がった瞬間、沢村が扉を閉める。勿論鍵をかけることは忘れていない。
外へ締め出された御幸は部屋の明るい照明から夜の暗さに、一瞬目の前が真っ黒になった。
暫く経ってよくよく目を凝らせば、そこに落ちているのは飴。それがおそらく御幸の額に当たったのだろう。
お菓子を受け取ってしまった御幸は、すごすごとその場を立ち去ったという。



一方、部屋の中では。
寸分違わず御幸の額に飴を当てた倉持のコントロールに沢村が目を輝かせ。
その倉持の行動にあわせ扉を閉めた沢村に、「見事な投内連携だな」と増子が目を細めたとか。





END .







タイトルは某BLをパクリました。下書きもなく直書き。
本当はコレ、漫画でやるともっと面白いと思うんだけど…。ネタ自体が面白いかどうかはともかく。
そして。
御幸は虐げられてこそ御幸でしょ?キャハvv シャランラァ〜♪
ネタが古くてすみません。
しかし御幸を虐げることに関しては謝らない。
そして食べ物で遊んではいけません。



071031