青道のルーキー、降谷と沢村は仲が悪い、と思っているのは本人達くらいなもので、実際のところはじゃれあっているようにしか見えなくて。
それでもその日の喧嘩はうっかり殴り合いにもなりそうな雰囲気。
御幸とクリスにそれぞれ止められた降谷と沢村は、お互いが悪いのだといって曲げない。
周りは周りで当然のようにそれぞれの女房に任せるものだから、睨み合う二人を横目に奥サマ達は深い溜め息を吐いた。
「沢村、荷物をまとめろ。帰るぞ」
クリスのあまりの声の機嫌の悪さに、沢村は渋々と部室を後にした。

残されたのは御幸と降谷。
「珍しいな、お前があんなに怒るなんて」
少しだけ本当に珍しがって、あとは仲の良さに嫉妬している。
仔犬と仔猫がじゃれあっているようなもんだとしても、目の前でされるのを容認できるほど大人じゃない。
「…って、…のこと、 カって…から」
フイ、と横を向いたままでの言い訳は許さない。
「ん?も1回言ってみ?」
「だって沢村が、御幸センパイのこと、馬鹿だって言うから…」
思わず凝視してしまった。
段々赤くなっていく降谷とは逆に、俺は笑みを深くした。
「お前、それで怒ってたの?」
俺は心の中でひっそりと沢村に感謝した。
もちろん、先輩の俺をバカ呼ばわりした落とし前はつけなければならないけれど、(あとで倉持と計画を練る必要があるようだ)なかなか拝めない恋人の赤面を見せてくれたことは差し引いておいてやろう。
「いや〜さとるくんはカワイイな〜vvお兄さん今夜頑張っちゃうぞ☆」
それこそ沢村が見ていたら「俺は間違ってないだろ!?」とでも叫びそうな台詞を吐いて、御幸は降谷を抱き寄せた。

その夜、御幸が本当にいつもより頑張ったかどうかは、降谷だけが知っている。 ちなみに沢村は・・・合掌。










END,



みゆふるは降谷を赤面させればいいとおもっててごめんなさい