1軍発表の夜。
俺はちょっと部屋に戻るのが怖かった。
1軍に上がれたのは嬉しかったけど、先輩とうまくやっていけるのかわからなかったから。
1軍発表の時と同じくらい緊張してドアを開ける。
……けれどそこにあったのは拍子抜けするくらいにいつもと変わらない雰囲気だった。
「何ボケっと突っ立っとんのや、早よ入れや」
「ぁ、はい」
入れ替わるように「俺、風呂行ってくるわ〜」と3年の先輩はいなくなってしまった。
途端、落ち着かなくなったのは自分。

「おい。」
「は、はい!」
「飲みもん買ってくるけど何かいるか?」
「あ、俺が行きます!」
「1軍昇格祝いや、おごったる」
……素直に、喜べばよかったんだろうけど。
「……………」
上手く、答えられなかった。
「……なんや、あてつけと思っとるんか。俺はそんな心の狭い奴と違うぞ」
何も言えなかった。
その通りだったから。
「俺とお前はずっと一緒に試合に出とった。条件は一緒やったのに、俺やなくてお前が選ばれた。それは変えられん事実や。正直羨ましいけどな、ひがんだり妬んだりはせん。これからもお前は俺と同室の1年で、同じ野球部の仲間や。」
強く、言い切った。
そのあと、ちょっと照れくさかったのか、「だから何がいるんか早く答えろや」と言うゾノ先輩は少し顔が赤かった。
「俺も行きます。」
そう言って、既に靴を履いていた先輩の後を追って靴に足を通す。扉を開ける前、
「頑張れよ」
小さな励ましに、
「はい」
深く頷いた。


頑張るのではなく、頑張らなくてはいけないのだ。
今、ここで約束したのだから。
強制でもない、義務でもない。
けれどこの約束は守らなくてはならない。
自分自身の、誇りにかけて。







END.



ダイヤでの友人(と言っても許されると信じてる)がゾノハルもありかな、と言っていた時、既に自分はこんなネタを書いてました(笑)
遂に前園にも手を出してしまった…orz
春っちのキャラが掴めません先生!!
「Thanks」と「Number」と併せて自分の中で密かに2年3部作と呼んでます(笑)