その手を、離すべくして放すのだと思いたかった。
いずれ大きく羽ばたくことになるであろうその姿に、願ってもないほどの輝かしい夢を見せてもらった。





今まで、ずっと後をついてきた人間の。
背中を、今度は自分が追うことになるのだろう。

この肩が治った時、アイツはどれくらい遠くにいるのか。
手を伸ばせば掴める距離にいるのかもしれない。
けれど、姿さえ捉えられない距離かもしれない。
もっとも、そこまで自分が育て上げるのだが。

まったくもって、矛盾した行為だと我ながら呆れてしまう。

それでも。
それでも、望んでしまうのだ。

彼の隣に何の遠慮も寂寥もなく、並んで立てる日を。
いつかまた、夢のような時間を過ごすために。





Though a boy lost a half of himself, he never stop to long become an Ace...







END.



沢村一軍昇格時の話。
結局完成せず、メモゆえに途切れ途切れ・・・
タイトルに最後まで迷った名残が(笑)
いつか続きを書けたらいいなと思う話の1つ。