夏が始まりを告げる頃、俺は重大な裏切りを犯した。
秋の国体、ひいては春の選抜、そして来夏のために。
ポジションを、ショートからサードへ。

その場所を誇っていた、今なら愛していたとさえ言える。
内野で唯一塁に縛られない名を持つそのポジションで、グラウンドに立ちたかった。
2軍でようやく定着した、内野手で最も深い位置には、けれど1軍には同じ学年の倉持がいた。

移り住んだその場所も、競争の激しい戦場。
だからといって負けるわけにはいかなかった。
もう、二度と。
微妙に異なる役割、微妙だからこそ余計に苦しんだコンバート。
その結果の、背番号「5」
手に入れたユニフォームに泣きたくなる。

嬉しくて、誇らしくて、―――惨めで。


握り締めたユニフォームに顔を押し付け言い聞かせる。
誇っていい、誇っていいんだ。
正々堂々と手に入れた場所なんだ、他の誰よりも自分が相応しい場所なんだ。
けれど心のどこかで、能面のような顔をした自分が嘲う。

初めての試合、初めて袖を通した背番号5。
グラウンドに散らばる9つの背。
その中でたった1つの、美しい数字。
かつての自分の場所を見やった。

左後方30度、距離にしておよそ45ヤードの位置で、最初の完全数が軽やかに謳う。


―――また、会いましょう。







END.



リアリティを出したくて数字を持ってきたけど、やぶへび・・・orz
実際のところ、コンバートにどれくらいの意識があるのかよくわからん・・・。
小野君中田氏と来たら・・・次は前園か(ヤメロ
サイト名はこのポジションからでした。愛。
「6」は最初の完全数なのです。数学は苦手だったけど、こういう数の神秘性は好き。