「だからお前はいちいち怒りっぽいんだよ!」
「なんやと〜!?」
部活後の帰り。
沢村はいきなり聞こえてきた怒鳴り声に驚いた。
声のするほうを恐る恐る覗くと、見知った顔が二つ。
「小野先輩と、マエケン先輩・・・」
2軍の先輩として世話になっている2人だった。
「ケンカか・・・?」
ケンカなら止めた方がいいのかな・・・。
別に正義漢ぶってるわけじゃないけど、暴力事件とかいわれたらイヤだし・・・。
「止めなくていいんだな〜。」
背後からいきなりかけられた声に、沢村は今度こそ殺されると思った。
なぜ、今度こそと思ったのかはわからないが。
「(なっ、中田先輩っ!!いつから後ろにいたんですか!?)」
かろうじて声を抑えることだけはできた。
「さっきからずっと後ろにいたんだな〜。」
だからそのさっきっていつだよ〜!! と、沢村が口にしなかったのは、賢明かもしれない。
「・・・ところで、どうして止めなくていいんですか?ケンカだったら・・・」
「あれはケンカなんかじゃないんだな〜」
「へ?」
見ろ、といわんばかりに指し示されたその先の2人は。
仲良く、手をつないでいて。
あぁそっか、仲直りの握手か、なんて思っていたら。
いや、いくらなんでも仲直りでそこまではしないだろ!っていう。
・・・いわゆる、キス、というものをしていた。
「ただの痴話げんかなんだな〜。」
「ちわ・・・っ?」
「だから放っておいていいんだな〜。」
と、中田先輩は本当に2人を放置したまま行ってしまった。
「・・・なんか俺、ビックリ損?」
視線の先には、一つになったシルエットがあった。
END.
某様とチャットでお話した時にノリで前園×小野書きます!とか言ったときのもの。
適当なことは言うもんじゃないと心底思った一品。
でも、結構いいと思うんだけどな〜ゾノオノ。<懲りてない(笑)